Читать на русском краткий пересказДаос продолжает путешествовать с труппой, но чувствует себя не лучшим образом. Тем временем актёры разбреда.тся по своим родным местам на летний отпуск, типа того.
Смешной диалог про то, что трактирная еда ему не подходит. Только я не поняла, что там после этого Вайнона сделала, ничего, что ли?
Вайнона рассказывает ему про свой арбалет, там что-то про то, что оно по технологии дварфов и собснна про дварфов. Плавно переходит разговор на Вайнону (а этот фрагмент с моим переводом я потом запощу в соо). Даос приводит её к тому, что она рассказывает о своём детстве и хнакомстве с цирком (родители бросили в 5 лет, а цирк подобрал). Потом не поняла, лирическое отступление про быт разъежающейся по домам труппы. К Даосу приходит глава труппы и предлагает стать зазывалой, мол, девки валом поавлят, но тот отказывается, мол - "я с вами просто попутешествую". На том и расходятся. Потом что-то я не врубилась, какие-то выяснения отношений между главой труппы и Вайноны ("ну, началось..."), но могу ошибаться. Потом поялвяется солдат, просит Вайнону посетить Морисона. Она общается с Морисоном, интересуется Джестоной. Морисон подозревает, что она что-то видела (демоны из второй части этой главы, полагаю), она отнекивается. Потом уговаривает его посетить Даоса. А Даос лежит в комнате, тупит в потолок и ему реально плохо, перед этим сознание терял есть надо иногда, Ваше Величество!. Морисон констатирует дефицит маны, рассказывает про ману, и оччччень активно интересуется Даосом, засыпает того вопросами: "Кто ты? Откуда? Кто твой народ? Ты не человек. Ты дух? Дух какой стихии?". Даос его одёргивает: "Любопытство человеческое до добра не доведёт!" ну он это пафосней сказал, правда. Морисон понимает, что не на того напал, и уходит. Даос очень туманно рассказывает Вайноне в полтора предложения о том, что "ради спасения народа" и "Великое Семя". Она ессно ничего не поняла. Потом - нападение на город, где они сейчас находятся, как я понимаю, там на Вальхалльской Равнине заварушка с демонами, и, полагаю, что там Джестона замешан.
TOP Katararezaru Rekishi. Act One - 4201 - Part 1. (4 of 5)
Txt-Version 1.0 [27.06.2012]
p044 (057) - p063 (074)
Читать на японском (начало, продолжение смотрим в комментариях).p044 (057)
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一週間もの日々を費やして行われたバカさわぎは、ようやく終わりを迎えていた。普段どおりのおだやかな日常が舞い戻り、人々は日々の生活に奔走しはじめていた。
「それじゃ。ヴェネツィアでね」
都の入り口に集まった奇術団の面々が、帰郷組とわかれを交わしている。
今回の公演で資金が集まり、奇術団は数力月後の公演までしばしの休業となっている。そこで出稼ぎをしている者たちが、一時、故郷へ帰ることとなり、旅立ちを迎えているのだ。
「オレはこれでおわかれだな」
丸太折りの大男がさびしげにつぶやいた。帰郷組の中には、今同で退団する者もいるのである。
「じゃね、ウノちやん。元気でね」
「うん。お姉さんたちもね」
こちらも今日で団をはなれる踊り子たちに、ウィノナは笑顔でこたえた。皆からはなれてた
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たずんでいるダオスを、チラリチラリと盗み見ている女たちの目に、胸の内では閉口している。
「早くしろー。馬車が出ちまうぞー」
愛想笑いで乗合馬車の御者を引き止めている団長が、話し込んでいる帰郷組を急かす。名残惜しそうに手を振り返し、声をかけ合いながら、帰郷組は馬車へ乗り込んでいった。
「うちの方でも必ず公演してねー」、走り出す馬車から手を振る踊り子たち。
「絶対行くよー!絶対行くからー!」
橋のなかばまで馬車を追いかけながら、ウィノナは声をはり上げる。都の外へ走り去っていく馬車へ手を振り続けた。
入れ替わりで戻ってきた団長は、立ち止まったウィノナの頭をなだめるようになでた。
「.......また、逢えるよね」
「ああ。もちろん」
後ろ髪引かれているウィノナを連れて、団長は居残り組のもとへ戻ってくる。次の公演地で 合流できる者たちもいるが、人数は半分になってしまった。さびしげに一同を見回しながら、
「さて、一杯、ひっかけにでも行くか」
酒場への繰り出しを提案する。こぶしを振り上げて一同はそれに賛同し、かすかに西へかたむきつつある太陽の下、都の風景に溶け込んでいった。
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十五の小娘が酒場で飲んだくらうワケにもいかない。とりあぇず食事だけして店を出たウィノナは、ダオスと二人で、宿へ戻ってきていた。
「酒場に残れぱよかったのにさ」
しばらく出番がなくなったボウガンの整備をしながら、ウィノナは言う。
「残念だが、私にはここの食事は合わないらしい」
ボウガンの一つを手に取り、不思議そうに観察しながらダオスはこたぇる。
「いい細工でしょ?」
ボウガンの仕組みを調べているダオスを見、ウィノナはニンマリと笑った。
部屋のベッドカら床まで、大小さまざまなボウガンがニ十丁近くならべられている。それらのすベてが精霊が編み出した細工による作品なのだ。
遠い昔、この世界にドワーフという精霊たちがいた。岩の精霊と呼ばれる者たちで、彼らは繊細な細工と複雑な仕組みを用いた道具をつくる天才と言われている。
現在ではもうこの世界にはいない精霊たちだが、技術を受け継いだ人間たちが存在するのだ。ここにあるボウガンのすべては、その名工がウィノナのためにつくったものなのである。
「前に巡業でたまたま知り合つてね。なんかアタシ、すごく気に入られちやってさ。そンでいろいろつくつてくれたのよ」
「理解した」
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「すごいよねー、精霊の技ってさ。——このニつがね、ブルースブラザーズ、ジェイクとエルウッド。小さくて軽くて連射がきくから、出だしの軽技とかに使ってお客さんをびっくりさせるのね。こっちの弓のところが曲がってるのが、デイープインパクト。石ころとか鉄の玉とかも飛ばせちゃうのね。それでね、そこの壁に立てかけてあるのがゴッドファーザーで、矢じゃなくて専用のブーメランを飛ばすンだ。なんかもう、ここまでデカいとボウガンとか、クロスボウってより、大砲って感じだけど。それからァ——」
嬉々として 一丁 一丁、ボウガンを手に取って説明を続けるウィノナを、不思議そうにながめているダオス。こぶしをあごに添え、考え込むように沈黙していたが、ふいに質問を投げかけた。
「先刻、キミの仲間の一部が都を出てから様子が変わったように見えるが、私の気のせいか?」
「え……?」
突然、話が変わり、ウィノナは口ごもる。一変して表情を曇らせながら、ぎこちない笑みを浮かべた。
「……そんなコトないよ? ……何で?」
「見誤りならば謝罪する。——私にはキミも彼の者たちと同様に、故郷へ戻りたいように思えるが?」
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「……そんなコト……」、近くのソファーに浅く腰かけて、ウィノナはつぶやいた。「……ある、……かな?」
次の言葉を待つように沈黙しているダオスに、困ったような目を向けるウィノナ。しばしの後、短いため息を一つ吐いて口を開いた。
「……アタシね。捨て子なんだ」
十数年前、物心がつくかつかないかの歳のころに、ウィノナは親に捨てられた過去を持つ。両親とともに旅をしているさなか、山間の山道に置き去りにされたのだ。
食料を手に入れてくる、と言い残したまま、両親は三日経っても戻らず、通りすがった奇術団に拾われた。
それが今も覚えている一番古い記憶になっている。
「だからね、アタシ、自分がどこで産まれて、どこに住んでたのか知らないンだ。故郷に帰りたくても、どこが故郷なのか知らないンだよね。帰りたいけど、帰れなくて、……そんな感じ」
「すまない。古い傷を」
「ああ、いーのいーの。今は団の連中が家族で、みんなが行くところがアタシの故郷みたいなもんだからさ。ははっ。なーんか暗くなっちまったね。ヤメヤメ。そーゆーのガラじゃないンだよね」
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陰鬱な空気を払いのけて笑い、ウィノナは立ち上がる。窓を押し開けて冬の風を部屋に招き入れながら、大きく深呼吸した。
そんな彼女の小さな背中を見つめながら、
「……帰れないか……」
ダオスは独白をこぼした。
人数が減ったせいであまり盛り上がらなかったらしく、団員たちは日暮れ前に酒場から宿へ引き返してきた。男たちの大部屋に集まり、何をするでもなく、ぼんやりと時を過ごしている。
ウィノナもなんとなくその場をおとずれ、窓辺から町並みをながめていた。ガラスに映り込んでいるダオスの姿をチラチラと盗み見ては、憂鬱げなため息をくり返している。
「おーい。ユークリッドへの船が決まったぞ」
役場が発行する航海表を片手に団長が現れた。
「じゃあ、一月くらいはここでのんびりできそうだな」
楽師の青年が竪琴の調律をしながら言う。長くなった休暇によろこんでいるが、どこか退屈そうでもある。すると団長はかぶりを振った。
「いや。ミッドガルズからの直行便が出ないらしぐてな、フレイランド経由の長旅になる。来週の終わりあたりには腰を上げにやァならん」
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「何じゃろりゃ!」
とたん団員たちは食ってかかった。長ければ長いで退屈だが、短くなればそれはそれで不満があるらしい。
「……オレに言うなよ。お上が決めたことだ。文句は言えンだろ」
食ってかかる団員たちに団長は渋面を浮かべる。団長自身も予定外の話だったのだ。
次の目的地である西の大陸、ユークリッドへ行く場合、ここミツドガルズからの直行便を使えば一月もかからない。
海を一つまたげば、次の目的地、北部ユークリツド大陸にある都、ヴェネツィアだ。
だが、南の大隆、フレイランドを経由するとなると、陸路と海路で倍以上の時間がかかってしまう。このミツドガルズ大陸を南下し、フレイランド大陸を縦断して船に乗り込み、ユミル、南部ユークリッドを海路で迁回してよやくたどり着く。
長い旅がはじまると知り、団員たちはいっせいにうなだれた。
「おまえさんはどうするね?」、団長は戸口のわきで壁によりかかっているダオスに問いかけた。「団員が減っちまってね。予定がないなら、新しいのが集まるまでつきあってくれると助かるンだが」
団長の唐突な提案にウィノナはおどろいて振り返った。対してダオスは、団長の話に眉をひそめている。
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「……私を?……なぜだ?」
「客引きには持ってこいなんだよ。おまえさんが立ってるだけで、女たちが寄ってくる」
「……いや、そうではない。何も聞かぬまま、得体の知れぬ私を連れ歩くようなコトをしてもいいのか?」
今にいたるまで、ウィノナも団員たちも、だれ一人としてダオスから深い話を聞き出そうとする者はいない。
何者なのか。
どこからきたのか。
なぜ、古域で行き倒れていたのか。
団員は皆、彼が「ダオス」という名前であること以外、何も知らないのである。
ダオスにそれを指摘され、団員たちは顔を見合わせる。
「そういえば」
と今さらにうなずいた。
「それがうちのやり方なんたよ」
楽師の青年が竪琴をかき鳴らしてこたえた。
一ところにとどまれない流れ者。それがこの奇術団の団員たちなのだ。皆、ワケありで各地を渡り歩き、行く先には不安しかない旅芸人をしている。
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そんな連中の集まりであるがため、聞かぬことが暗黙の了解となっていた。
「話したきゃ話しゃいい。話したくなきゃ話さなきゃいい。だれもそれを責めはしないし、無理強いもしない。だれにでも話せないコトの一つや二つはあるからな」
ダオスの肩をたたき、団長は笑った。団員たちがうなずき、ウィノナはうつむいてくちびるを嚙んだ。
「だがな!」、突然に声をはり上げる団長。「娘はやらん!」
「……はじまった」、顔をしかめる団員一同。
「ウィノナはオレが手塩にかけて、ていねいに、ていねいに育てたお宝だ!あれがほしけりゃ、国と城と船と財宝と千人の従者と一万の馬を手に入れて、伝説になるような偉業を成し遂げろ!いいな⁉それまでは絶対にさわるな! 一メートル以内に近づくな!見るのは十秒だけゆるす!」
だだをこねるこどものようなへ理屈を声高らかにたたきつけ、団長は厳しくクギを刺した。 話の飛び方についていけず、ダオスはあっけに取られている。そこへ——
「ウィノナはいるかい?」
先日、再会した学者、エドワードが顔を出す。にらみつけてくる団長を無視して部屋へ入り込み、窓辺で顔を背けたウィノナに手招きをした。
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団長のガードは固かったが、結局、ウィノナが了承したことで外出が決まった。
エドワードに案内され、ウィノナはミッドガルズ城の敷地内にある兵舎に連れてこられた。都で滞在中、エドワードはその一室を拝借し、私室として利用しているらしい。
書物や書類で埋めつくされた部屋に招き入れられ、用意されたイスに腰を下ろすウィノナ。うずたかく積み上げられた書物の山がただよわせる重圧感て、身を縮めている。
閉めきられたカーテンが日差しをさえぎり、部屋は薄闇に塗りかためられている。部屋ではなく、洞窟の中のようだ。
ウィノナの様子になど目もくれず、エドワードは仕事の準備をしていた。執務机の書物を押しのけて場所を空け、そこに古い書類を広げていった。
「一週間もどこに行ってたンだい?森へ出かけたまま戻らないっていうから、役人にたのんで捜してもらおうかと思ってたところだ。心配したよ」
……よく言うよ。
気遣うエドワードをウィノナは胸の内で冷笑した。
「……あれ?あの時の資料はどこだったかな……」
書類をひっくり返しはじめるエドワードを見、しばし話が進みそうにないことを悟るウィノナ。このまま戻れないだろうか、と考えながら部屋を見回して後、思い出したように質問した。
「 ねぇ。橋で逢った時にいっしょにいた魔術師——」
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「ジェストーナか?」
「——うん。その人、今日はけないの?」
たずねられてエドワードは書類を捜しながらうなずいた。
「ああ。おとといあたりから見てないな」
「どこに行ったの?」
「さあね。前からときどき、フラッと姿を消してしまうンだよ。どこにいるのか見当もつかないな。そのうち、いつの間にか戻ってきてるだろう。——どうかしたか?」
「ん?うん、ベつに」
何てもない、とウィノナは肩をすくめた。——が、くわしい話を聞きたいということ力顔に出てしまっている。
さえない中年魔術師に、何をかぎつけたのだろうか。ウィノナの様子にいぶかしげな表情を浮かベるエドワードは、ふいに真剣な面持ちになった。
「まさか、彼を見たのか!?」
机に身を乗り出してくるエドワードから、逃けるようにウィノナは身を引く。鼓動が早まる幕が、それを隠して平静を装った。
「ないよ。このところ何も見てない」
ウィノナのこたえにエドワードは落胆し、どっかとイスに腰を下ろす。残念そうにうなだれ
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て長いため息を吐いた。
部屋の外に足音が響いた。近づいてくる足音は部屋の前で止まり、代わりに戸をたたく音がした。
「どうぞ」、エドワードのうながしで、部屋に兵士が入り込んできた。
「モリスン殿。お連れの方に旅芸人が面会を希望しているのですが」
「旅芸人?」、ウィノナと顔を見合わせ、エドワードは兵士に問い返す。「何と?」
「は。何か一座の一人が倒れたとかで」
兵士のこたえを聞き、ウィノナは弾かれたように立ち上がる。
「きて!」
エドワードを無理矢理引っぱって部屋を飛び出す。戸口の兵士を押しのけて廊下に出、兵舎の外で待っているらしい団員たちのもとへつっ走った。
「待て、ウィノナ!私の専門は歴史学だぞ⁉——それに研究は⁉」
「あとで!学者ならいろんな;lコト、知ってるでしょ!」
中断された話を続けたいエドワードを無視して連れ出し、ウィノナは外で待っていた団員らと合流して宿をめざした。
宿のベッドに寝かされていたのは、やはりダオスだった。ウィノナが出かけて間もなく、団
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員らの談笑を部屋のすみで見物していた彼は、突然に倒れ、気を失ったのだという。
「……こないだと同じ感じだね」
原因不明の昏睡に陥っているダオスを見やりながら、ウィノナはつぶやいた。古域で発見した時と同様に、苦しんでいる様子もなく、ただ静かに意識を途絶えさせている。天寿をまっとうし、この世から消え去るまぎわの老人のようだ。
生気が感じられない。
「——で?どうなのさ」
「……どうなのって言われてもなァ……」
素人診察をしながら、エドワードは渋面を浮かべた。学者ではあるが、専門は古代の探求だ。病状の診察とはかけ離れた場所にいる。
それでも仕事で旅生活が多いせいか、それなりにはケガや病に対する知識はある。団員にたのんで兵舎の私室から持ってきてもらったカバンの中を探り、エドワードは親指のツメほどのウロコを取り出した。
「ハシリスクのウロコだ」
「バシリスク?」、ウィノナと団員一同がエドワードの手もとをのぞき込む。
「南のフレイランド大陸に生息する魔物のウロコでな、あらかたの病の特効薬になる。すりつぶして塗り込めば、傷も治せる」
Download ~14Mb, scans + text of the novel
And about the last pages.
A war against daemons on the Valhalla Plains probably, thanks to Jestona? began before Dhaos has appeared on Aselia?
@темы: scan, матчасть, Dhaos, Edward D. Morison, Winona Pickford, Нужен перевод!, Katararezaru Rekishi, novel
言ってエドワードはテーブルに向かい、ウロコをスプーンでカップの受け皿にこすりつけはじめる。枯れ葉のように乾いていたウロコは、軽くこすりつけただけで砕け、粉に変貌していった。
「……くすりで治るものではない」
ふいの言葉に振り返ると、目を覚ましたダオスが天井を見上げていた。
「……でも、飲んどけば多少はさ」
傷らしきものがないことを考えると、病としか思えない。病ならば、特効薬を飲めばどんなものでもよくなるのではないか。そう考えて、ウィノナはくすりを飲むよう勧める。
だが、ダオスはべッドに横たわったままかぶりを振った。
「病ではない。生命力がつきかかっているのだ」
「生命力?」
「そうだ。このあたりの土地は私にとっての生命力、『マナ』が、しごく希薄だ。自然の活性元素、マナが薄く弱々しいため、私はその影響を受けている」
ダオスの説明で一同が首をかしげた。
自然を活性化させる力を持つエネルギー、「マナ」。そのエネルギーは自然界の営みになくてはならないものとされている。草木が芽吹き、実りをはぐくむには、日の光と水、土地以外に、このエネルギーも必要なのだそうだ。
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だが、それは自界にかぎってのこと。
人間がマナの存否に左右されるとは聞いたことがない。影響を受けるとすれば、動物や、この世界の本来の住民ではなぃ精霊のたぐいだ。
やはりダオスは人ではなく、精霊の仲間なのだろうか。困惑を深めているウィノナの構て、エドワードが爛々と目を輝かせた。
「キミはいったい何者なんだ?マナの有無に影響されるというなら、人間ではないのか?精霊なのか?太古に絶滅し、記録にも残っていない精霊の生き残りということか?ほかに仲間はいるのか?何を司る精霊だ?森か?岩か?水か?」
「くだらない好奇心で人の心に踏み入るな!」
矢継ぎ早に質問を投げつけるエドワードを、怒鳴りつけるウィノナ。異様なほどの怒気を目もとにただよわせ、にらみつけている。
その気迫に気圧されて、エドワードは言葉を飲み込んだ。それでもまだ、ダオスに対する興味が失せていないことが見て取れる。頭の中で自問自答をくり返し、奇妙な青年の素性を模索していた。
「……長い旅をしていた。私自身、どれほどの道のりであったか、明確に記憶していない」
押しだまっていたダオスがふいに口を開いた。
「いいよ。しゃベらなくて」
エドワードを威嚇しながら、ウィノナが制止する。
だが、ダオスはためらいを捨て去るように言葉を続けた。 「あるものを捜している。破滅の縁にある故郷を救うためのものだ。故郷を救うために旅立ち、様々な世界を渡り歩いて捜し続けていたのだが、結局、捜し出すコトはできなかった。最後に流れ着いたこの場所にもその存在は感じられない」
「最後?」
「そうだ。これより先、旅をする力はもう私にはない。ここで手に入れられなければ、故郷とともに私の旅もここで終わる。——否。……すでに終わっているのだろうな」
私は愚か者だ、と自虐的につけ足し、ダオスは長いため息を天井に吐き出した。
「その捜し物とはいったい何だ?」
胸を痛めているウィノナのすきをつき、歩み出たエドワードが目を輝かせる。
ダオスは天井を見つめたまま、長く間をおいてつぶやいた。
「…………………………………………大いなる実りだ……」
そう然とした空気が都一帯にただよっていた。
兵士たちが警鐘のようにけたたましく鎧をならし、せわしなく通りを行き交っている。戦支度をしているその姿を恐れ、おびえ、都の住民たちは家に引きこもって身をひそめていた。
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都の北に広がるヴァルバラ平原に、魔物の異常発生が確認されたのだ。めったに人里に現れることがない魔物たちが平原を撕徊し、群れつつあるという。
警備の兵による報告を受けた軍は、都と近隣町村の危機を未然に防ぐため、出陣命令を発した。魔物による襲撃が行われる前に打って出ようというのだ。
原因不明の異常発生に戸惑いながら、軍の出陣は急遽整えられ、およそ一世紀ぶりの戦がはじまろうとしていた。
新時代を迎えて間もなくに巻きおこった戦いで、都には住民たちの不女が満ちている。また今年も、嘆くばかりの日々が続くのではないか、と雲行きの怪しい空を仰いでいた。
怪物退治に雄叫びを響かせ、兵士たちの行軍がはじまった。整然と列をなし、都の外へとつき進み、打ち鳴る鎧を日の光でまたたかせている。
そんな物々しい風景を宿の窓辺からウィノナがながめていた。近づく旅立ちの準儁で団員たちが出払っているため、体調の回復しないダオスの看病をすることになったのだ。
ダオスは日増しに衰弱し続けている。肌の色はくすみ、ほおには影が落ちている。寝顔は死人のようだった。状況は悪化しているようにしか見えない。
「……戦がはじまるのか?」
外のさわぎでダオスは目を覚ました。
「怪物が北の平原に群れはじめたらしいよ。それで襲われる前にやっつけに行くみたい」
「なぜだ?」
「ほったらかしといたら、そのうち人が襲われるかもしれないからでしょ」
ウィノナのこたえにダオスは眉をひそめる。考え込むように沈黙し、しばしの後、ふたたび口を開いた。
「現時点で被ってはいない被害を想定し、加害者になっていない者を裁くのか?可能性の有無という問題でしかなく、確定された現実でないにもかかわらず?ただそこに集まったというだけの理由で、罪なき者たちを排除しようというのか?」
「人間ってさ、なわばりが広いンじゃない?」
自らのテリトリーを侵されれば、侵したものを排除しようとする本能が動物にはある。権威の誇示や、危機から身を守るための本能だ。
人間の場合、その本能がほかの動物に比べて過剰なのだろう、とウィノナは言う。テリトリーを極端に広く持っているのだ、と。
それは人間があまりに脆弱な存在ゆえのことだ。獣のような牙もなく、鳥のような翼もない。力を持たぬため、人間は自らのテリトリーが侵されることに異常な恐怖を感じ、躍起になって閉め出そうとする。
この世界でもっともか弱い生物が人間なのだ。
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だが、それは同時に最強であり、最悪であることも示している。
かつて人間は世界でもっともか弱い生物だった。襲われればただ逃げるしかなかったのだ。——が、今は違う。
知性を手に入れた人間は、テリトリーの拡大が豊かさに結びつくことを知ってしまった。山にへだてられた荒野に歴史の第一歩を踏み出した人間は、山を越え、森を抜け、砂漠を進み、海を渡り、それまでのすべてを掌握しながら歴史を築いてきた。
知性が生み出した武器を使い、テリトリーから不要なものを排除して、独自の世界、独自の秩序をつくり上げてきたのだ。動物や植物や、魔物や、時には同じ人間を排除し続けてきた。排除し続けることで、すべてを手に入れてきたのだ。
いずれ空すらも思いのままにつき進み、自らのものにしてしまうことだろう。
そしてこの世界はすべてを人間に喰いつくされ、喰らった人間もろとも消えてなくなるだろう。繁栄を望みながら、周囲を巻き込んで破滅へ向かう人間に終焉をたたきつけられるのだ。
もしかすると「テリトリーを守る」などということは、建て前でしかないのかもしれない。人間のやることに理由などないのかもしれない。
あるとするなら、それは、人間は死にたがっている、といったところだろうか。
人間による世界の掌握が破滅であるなら、知性を持つ人間がそれを知らないワケがない。人間たちの行動理由は、すなわち「死」だ。
「人間はこの世界に生まれた病原菌なんだよ。たぶんね。——ん?あれ?なんか変な話になっちゃったね。ごめんごめん」
鼻先を人差し指でかきながら、ウィノナは照れくさそうに笑った。抱えた思想をはずみで話してしまい、決まり悪そうな表情を浮かべている。
「……キミは人間が嫌いなのか?」
ダオスのふいの質問に虚をつかれ、思わず言葉を飲み込んでしまうウィノナ。あわてたように視線を部屋に泳がせ、言葉を選んでいる。——が、
「ねえ、アンタさ。これからアタシたちといつしょに旅をしようよ」
質問にはこたえずに話を変えた。
「楽しいと思うよ?ね?そうしよう?」
ベッドのかたわらにかがみ、ウィノナは満面の笑みを浮かべた。